悪女の恋〜偽りの結婚〜
「最初に聞きましたが、もう一度言います。結衣は元気ですか?」


「は? 何かと思えば……。貴方は俺をからかってるんですか?」


「質問に答えなさい!」


 突然一条海は大声で怒鳴った。部屋の外に聞こえたんではないだろうか。


「げ、元気なんじゃないですか?」


 一条海の剣幕に気おされ、俺は小さい声でそう答えた。


「私が知りたいのは、貴方は結衣を幸せにする気があるのかどうかです。もっと言えば、本当に結衣を愛しているのか、その事です」


 一瞬冗談かと思ったが、一条海の顔は、真剣そのものだった。


< 25 / 175 >

この作品をシェア

pagetop