悪女の恋〜偽りの結婚〜
 翌朝、俺に抱きついてスヤスヤ眠る結衣を見ながら、俺はちょっと迷っていた。このまま寝かしておくべきかどうかを。


 昨夜も激し過ぎたかもしれない。このまま寝かしておいてやるか?

 いやいや、何を考えてるんだ、俺は。寝不足なのは俺だって一緒じゃないか。それでも俺は起き出して会社へ行く。この女だけ寝かせておくのは変だろう?


 思えば昨日もそうだった。俺の着替えが終わり、いざ出掛ける頃に漸くこの女は目を覚まし、布団の中からバイバイ、なんて手を振りやがったんだ。


 まったく、何様だよ? ああ、お嬢様か。

 なんて、一人でボケツッコミしながら、俺は結衣の体を揺らし、目を覚まさせた。


 何を勘違いしたのか、俺に抱きついて来た結衣を引き剥がし、朝飯を作れと言ってやった。結衣は目をまん丸にしていたが、俺は変な事は言ってない、よな?


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