悪女の恋〜偽りの結婚〜
「三島、やっと新婚らしい顔になったな?」


 片岡が俺の顔を覗き込んでそう言った。


「何がだよ?」


「は? さっきからニタニタして“心ここに在らず”って感じでさ、昨夜の事とか思い出してたんだろ? チクショー、羨ましいぞ!」


 そう言って、片岡は俺の背中をバシッと叩いた。


「痛えな、やめろよ」


「うるせー、この野郎、あんな美人と毎晩毎晩、ズル過ぎだろ、クソーッ」


 こいつ、欲求不満か?

 でも、俺が夜の事を思い出してた、というのはあながちハズレではなかった。


< 33 / 175 >

この作品をシェア

pagetop