悪女の恋〜偽りの結婚〜
「はい、何か?」


「ご主人に、言っておきたい事があるんですよ。奥さんの事で……」


「はあ?」


「あんた、止めなさいよ。人様の事に口を出すのは……」


「いや、俺は同じ男として、そして夫して、黙ってられねえんだ」


「そう言ったってあんた、うちらの勘違いだったらどうすんのさ? こちらに迷惑かけるだけでしょ?」


「まあ、それもそうだな。勘違いとは思えねえけど、余計な口出しはしねえ方がいいよな?」


「そりゃあ、そうよ」


「そうだな、止めとこう。 では」


 なんて言って俺にお辞儀をすると、夫婦はさっさと立ち去ろうとした。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


 今度は俺が二人を呼び止めた。


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