悪女の恋〜偽りの結婚〜
「三島、どうした? 暗い顔して……」


 片岡が馴れ馴れしく俺の肩に手を置き、顔を覗いてそう言った。


「別に……」俺はそう言って、片岡の手を肩から払いのけた。


「機嫌悪いな。さては奥さんと喧嘩でもしたか? 仲がいいほど喧嘩するって言うからな」


「いちいち、うるせえんだよ!」


 つい大声を出してしまった。片岡はビクッとし、職場中の人間が驚いて俺を見ていた。か、格好悪い……



 今頃結衣の奴、茶髪男とイチャツイテやがるんだろうか……


 タバコを立て続けに吸っても、なぜかイライラは収まらなかった。
 なぜだ? なぜ俺はあんな女の事でこんなにイラつくんだ?


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