悪女の恋〜偽りの結婚〜
 探偵? なるほど。じゃあ、俺は探偵って事にしておくか?

 一瞬そう考えたが、それでは女は警戒して茶髪男の事を話さないかもしれないし、俺は本来嘘をつくのは嫌いだし下手だ。という事で、


「いいえ、違います。私は三島と言います」

 と正直に名乗ると、


「私は中山と言います」

 と女も名乗った。


 さて、互いに名乗りあったはいいが、どう話を切り出そうか……

 ウェイトレスが置いていったコーヒーをブラックのまま一口飲み、俺は思案した。女から茶髪男の事を聞きだす事だけ考えていたが、そのためにはこっちの事情を説明しないと話してもらえないだろう。


 それはかなり格好悪いわけだが、今更後悔しても遅いよなあ……


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