悪女の恋〜偽りの結婚〜
「ああ、なるほど……」


 この人とあの茶髪男は大家と店子の関係か……

 しかし単にそれだけではないだろう、と俺の直感は告げていた。少なくても、この人はヤツに特別な感情を持っていると俺は読んだ。


「彼はどんな男ですか?」


「それが……彼は家に来てまだ日が浅いので、私もよくは知らないんです」


 なんだ。俺の読みはハズレか?


「定職に着いてないみたいで、親からお金を貰って遊び歩いてるみたいで……」


 完全に俺の勘違いだったな。あいつは見た目通りの、どうしようもない野郎なわけで、こんなまじめそうな女が惚れるわけがない。


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