悪女の恋〜偽りの結婚〜
「ただ、すぐにとは行かないと思いますので、少しお時間を頂きたいんですが……」


「それはまあ、いいんですが、あなたにそんな事をしてもらっていいのかどうか。あなたには、まるで関係ない事なのに……」


「いいえ、関係あります。一応は同居人ですから。同居人の過ちを見過ごす事はできません」


 中山さんは凛とした顔でそう言い切った。正義感が強いんだろうなあ。


 中山さんとは、互いに裏に携帯の番号を書いた名刺を交換して別れた。名刺によると、彼女は出版社に勤めているらしい。


 彼女を頼る気にはなれないが、他に手段がないので様子を見よう。


 何もやる事がないので、遅刻はみっともないが、俺は会社へ行く事にした。


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