仕事上手(?)で恋愛下手(!)
最期のドルチェが乗ったワゴンが来たとき
先生の携帯が鳴った。

(急患さんかなぁ。)

先生は電話に出る前に、

「花菜。オレの分デザート選んで食べて良いよ。」

っと言って、顔の前で手を合わせてごめんっと言って
席を外した。

(ドクターだもんなぁ。
忙しくて当然で、人命が優先されて当然だもん。
しょうがないよなぁ。)

っと頭では分かっていたけど、ちょっと寂しい気持ちになる
自分もいた。

(それにしてもキレイだなぁ。)

話す相手がいなくて、窓の外ばかりを見てしまう。
真っ暗な中で、色とりどりのネオンがキラキラ光っている。
それを上から見下ろすことは贅沢な気分だった。

先生は10分程すると戻ってきた。

「花菜、ごめんな。
あれ。ドルチェオレの分食べても良かったのに。」

お皿の上に残っているドルチェを見ながら言った。
大和先生は甘いものがあんまり好きではない。
バレンタインのチョコだって他の先生や職員に
こっそりあげてしまうほど。

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