仕事上手(?)で恋愛下手(!)
「バッカだな。お前。
はい。ってカワイ子ブリっ子して返事すりゃ
イイじゃねぇかよ。不器用なヤツだな。」

可哀想な物を見る目で主任が言った。

「器用な性格だったら、こんな風になったり
悩んだりしないと思いませんか?」


頭にきて主任に詰め寄ってしまった。

「お前、酔うと絡むタイプだな…?
あ。もう止めとけよ。明日に残っても知らねぇぞ。」

っと私は主任が止めるのも聞かずに
また、手酌で徳利のお酒を注ぎ、喉の奥に流し込んだ。

「大丈夫ですよ。
酒は飲んでも呑まれませんから。」

っと言うと、主任はますます呆れ顔だった。

「なぁ。西村、明日には忘れちまうかも
しれないけど覚えとけ。
お前の思う道で迷ったら一回リセットしてみろ。
仕事も、全部だ。
お前は色々考えすぎなんだ。」

お酒に酔うと自分の意識とは関係なく
フィルターを掛けられているような
錯覚に陥る時がある。
誰かの話も、自分の触角も遠くなってしまうような感覚。
相当酔っている時だ。
今日はそれに近い感覚だったけど
主任に言われたその一言はずっと覚えていて
ずっと私を救ってくれる一言だった。
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