仕事上手(?)で恋愛下手(!)
貴腐ワインはその名の通り
特別な方法で収穫時期が過ぎた葡萄を
そのままの状態でカビを付け
そのカビが付いた葡萄で
作ったワインだ。

海外の貴腐ワインは手頃な値段で
手にはいるが、国産の物となると
葡萄の品種や日本の気候など
様々な問題があり、
少し前までは入手が困難だと
言われていたほど
貴重な物だった。

「カビが生えた葡萄を
食べちゃうなんて
初めて試した人は凄いよね。」

注がれたワイングラスの中の
とろっとした液体を見ながら
奈南が呟くように言った。

「これが、スッゴく甘いんだもんなぁ。」

自分のグラスにもワインを注いだ
慎治君が愛おしそうに
口に含ませた。
< 231 / 365 >

この作品をシェア

pagetop