仕事上手(?)で恋愛下手(!)
そして、午後一番で病棟から呼び出しの連絡がきた。
予想通り相川さんだった。

どんな話が出るか、私は緊張しながら病室の戸をノックした。

「どうぞ。」

相川さんの声がした。
私は迷いや先入観を消すために、一つ大きな深呼吸をして
戸を開けた。

「こんにちわ。相談室の西村です。」

病室に入って頭を下げると、

「ご苦労さま。」

と言って私のことを真っすぐ見てくれる相川さんがいた。

(あれ…?)

3日前の印象とは変っていた。何かが吹っ切れてたのだろうか、
なんだかスッキリしたような、清々しい表情をしていた。

「何かありましたか?」

と聞いてみると、

「すぐ、分かるのね。
実は一番下の息子から連絡があったの。」

っと嬉しそうに話してくれた。

そして、相川さんは、これまでもご主人とも
離婚をしたいと思ったことは
数え切れないほどあったと、話してくれた。


「でも、子どものために、父親は一人しかいないからと思って
我慢してきた。こないだまでその気持ちは変わってなかった。

自分ひとりが我慢すればって…。」


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