仕事上手(?)で恋愛下手(!)
と話すと、携帯電話を取り出して、


「骨折して入院してるって言ったら。

《もう、我慢しなくてもいいよ。》

ってメールがきたの。
それを見たら、なんかもう子どもは全部知ってたんだなって、

私が我慢してるのをずっと見てたんだなって思ったら
前に進みたいって思うようになったの。」


静かに、でもはっきりとした口調で話す相川さんは
一番最初に出会った頃の悲哀は感じなかった。

こんなんに明るい人なんだと思う位だった。


「相川さんはどうしたら、前を向くことができると思いますか。」

私は尋ねた。

「まずは、夫と話をしてみたいの。」

相川さんの病室は午後の一番明るい日差しを浴びて、
部屋全体がとても暖かくて、明るかった。

そんな雰囲気も彼女を後押ししたのかもしれない。


「何も言わずに夫を置いて、家を出ることなんてできないわ。
だって、30年近く一緒に暮らしてきたんだから。」

その話しぶりからは旦那様への愛情がひしひしと伝わってきた。

「じゃあ、旦那様がきちんとお酒を辞めることができたら…」

「…。もちろん離婚はしない。」

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