仕事上手(?)で恋愛下手(!)
私は先生の話も聞かずに、
柏木からもらったという紙袋の中身を
確認して、うっとりしていた。

(ナカムラのパイコルネだ~!!!!)

柏木が先生にくれたものは、今病院の中での
差しいれでも人気ナンバーワンの
駅前の洋菓子店のパイコルネだった。

サクサクのパイ生地を筒状に焼いたものの中に
フレッシュなクリームがたくさん入っている
洋菓子で、私も大好きだった。

「花菜、座ってて。」

先生はリビングのソファを指で示しながら言った。
先生は、台所に行き咥え煙草で
水を入れたやかんにガスを点けた。

先生は台所にあるつり戸棚を開けて
何やら取りだした。

(サイフォン…?)

先生が取りだしたのは紛れもなくサイフォンだった。

「料理はしないけど、
煙草吸うからコーヒーだけはこだわってるんだよね。
まぁ、昔から実家もサイフォンだったから、
インスタントで入れる気なかったしね。」



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