仕事上手(?)で恋愛下手(!)
っと先生は手際良くサイフォンを並べて、
コーヒー豆とミルサーを出していた。

昔、理科の授業で見たことのあるような
実験道具にしか見えなかった。

喫茶店では見たことがあったけど
実際に近くで見るのは初めてだった。
何だか興味が湧いてきて、ソファから立って
先生の傍でその作業を見ていた。

お湯が湧くまでの時間で先生はコーヒー豆を
ミルサーに入れて豆を挽いていた。
ミルサーが豆を挽く音と同時にコーヒーの
良い香りが辺りに漂った。

「イイ匂い。」

思わず、そう声を出さずにいられないほどだった。
挽きたてのコーヒーはこんなにも香りが良いものだと
初めて知った。

「もちろん、挽いてあるコーヒーでだってウマいコーヒーは
入れられるけど、香りが変わるからさ。
このひと手間は惜しまないようにしてるんだ。
それに豆の方が日持ちするしね。」

と説明を聞いている間にお湯が湧いて
先生は丸底フラスコみたいな方なにお湯を入れて、
尻尾が生えているビーカーみたいな方に
フィルターを張って、コーヒーを入れた。
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