仕事上手(?)で恋愛下手(!)
「花菜、帰らないで…ほしい。」

先生は真剣な表情で私を見ていた。

私は、大和先生に対してこれまでずっと
信頼できるドクターとしての『尊敬』の気持ちと
優しくてカッコいい大人の男性としての彼への
『憧れ』の気持ちが大きくあった。

でも、ここ最近は一歩踏み込んだ関係に
なってきているからなのか

先生のプライベートな面を見たり、
陽希君に嫉妬している先生を見て
嫌いになったり、離れたいと思う感情が
芽生えると思っていた…。

でも実際は、これまで以上に、
彼をひとりにしたくないという気持ちや
痛いほど私を傷つけないように大事に
てくれるところに、逆に魅かれてしまった
自分がいた。

(どうしたら…。こんな関係は
終わらせなくちゃいけないのに…。)

でも、掴まれた右手を私は振りほどくことなんて
出来なかった…。
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