仕事上手(?)で恋愛下手(!)
「しっかし、良い天気だね。

仕事サボってどっか行きたくなっちゃう。
海沿いの道を愛車で思い切り走りたいね。」

空を仰ぎながら大和先生は大きく伸びをした。

先生がそう言いたくなるのは分かるくらい澄み切った青空だった。
秋から冬に向かっていく空。
凄く高く見えるけど冷え切っている頃の空とは違って、
まだ濃い青じゃなく、水色。

「先生の愛車はまだ変わらないんですか?」

私は何気なく聞いた。

以前見かけた大和先生の車は、メルセデスのGクラス。
ごっついパジェロみたいな大きな黒い車だった。

「変わってないよ。いくら医者だって言ってもそう何度も
ベンツ買い替えらんないよ。」

軽く笑いながら言った。

「そんなに、昔の医者みたいに金が湧いて出てくるような
商売じゃなくなったんだよ。

しかも、おれは勤務医だしね。」


なんて、だいぶ脱線してしまったので本題に戻しながら
大和先生と事前の打ち合わせは続いた。

私は大和先生へ、旦那様を呼んだカンファレンスをやってみないと、
その先はどうなるか分からないことを伝えた。

相川さんがまだ離婚したくないと思っている以上、
無理に離婚やシェルターなんて話がきるわけもなかった。



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