ホット☆ファミリー
1章
プロローグ
『もう我慢できません。ごめんなさい。 母より』
小さなアパートに遺された手紙にはそれだけだった。
理由とか言い訳とかすっ飛ばして俺は見放されたんだ。
変わらないと思っていた日常はいとも簡単に崩れる。
ただ漠然と寂しさが怒りへと変わる瞬間を感じていた。
小さな部屋には、やけに大きく響く時計の音と灰色の居場所と俺。
五月の雨がしとしとと降りはじめた。
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