ホット☆ファミリー
「あのさ、」
「?」
「どこから来たの?」
少女の表情が少し硬くなる。
直球過ぎたか?
「もしもの時の為に、知っていた方がいいと思って・・・」
「もしも?」
少女の瞳が不安気に揺れる。
「一緒に暮らすんだし、俺にもいろいろ責任あるから。・・・ないと思うけど病気とかそんな時、連絡先とかあった方がいい・・・」
「だよね・・・悠ばっかりに迷惑かけられないもんね。」
急に大人びた口調になる少女に俺は切なくなる。
彼女の顔は寂しげに陰っていた。
この子にはそんな顔、似合わない。
少女の事は何一つ知らないけど、くしゃくしゃの泣き顔や怒った顔、少女は全力で喜怒哀楽を伝えてきた。
それは八咲の魅力だと思う。
今にも消えてしまいそうなそんな顔は八咲には似合わないんだ。
俺は少女に掛ける言葉も思いつかず、住所と電話番号を紙に書いてもらい、"もしもの時だけに使う"ことを約束した。
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