悪女
六月の雨で、もやもやとした空気が漂う長い廊下で紫恵と俺は文化祭の装飾用のダンボールを決められた大きさに切る作業をしていた。
「暑いな…」
シャツで汗を拭いながら恐る恐る紫恵に話しかける、彼女は男子とあまり話さないから、もしかして無視されるかも、と思った。
「扇いであげようか?」
紫恵はパタパタと下敷きを俺に向ける
思いがけないことでびっくりした。顔面に近づけて扇いでくるので俺の前髪はひらひらと舞う。
クリアパープル越しにみた紫恵は楽しそうに笑ってた。