同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~
「こっちだよ、ほら」


 振り返って陸が指差す方向を見ると、確かに水族館らしき建物が見えた。


「わ、分かってるわよ」


 私はスタスタと歩き、陸の横を通り過ぎようとしたのだけど、陸に腕をムズッと掴まれ、グイと引っ張られてしまった。


「あっきー……」


 陸は私の顔を覗き込み、ニタニタ笑っている。


「何よ?」


「秋ちゃん……」


「だから、何?」


「ここをどこかと間違えたかな?」


「ち、違うわよ」


「じゃあ、何で顔が赤いのかな?」


「し、知らないわよ、そんな事……」


「おまえって、ほんと可愛いよな?」


「な、何を言って……きゃっ」


 陸に頭を撫でられ、そのまま陸の胸に引き寄せられてしまった。


「ちょ、ちょっと……」


 放してよ。恥ずかしいし、胸がドキドキしちゃうから……


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