同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~
 海さんが納豆を前に途方に暮れていると、


「もう……、貸してください」


 そう言って春姉は海さんの納豆を手に取り、更に海さんの手からお箸をひったくり、納豆をグチャグチャとかき混ぜ始めた。海さんはそれを目を丸くして見ていた。


 春姉はかき混ぜてよく粘らせた納豆に薬味と醤油を垂らし、海さんのご飯に乗せてあげた。


 海さんは春姉の手際のよさに関心したのか、「おおー」と感嘆の声を漏らしていた。


「はい、食べてみてください」


「う、うん」


 海さんは春姉からお箸を受け取ると、おそるおそるという感じで納豆ご飯を口に含んだ。


「どうですか?」と春姉が海さんの顔を覗いて聞くと、海さんはモグモグ、ゴックンとしてから、「うん、うまいよ!」と子供みたいにはしゃいだ声を上げた。



「よかった」と言った春姉は、ほんのり頬を赤らめていた。


この二人、案外いい感じかも……


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