同居人の秘密~瞳の魔法に魅せられて~
「夏姉もご飯食べれば?」


 私はお箸を持つと、立ったままの夏姉に向かってそう言った。でも夏姉は、「うん……」と言うだけで座ろうとしない。夏姉を見上げたら、入り口の方に目をやり、困ったような顔をしていた。


「夏姉、どうしたの?」


「え? うん、陸さんはまだ起きて来ないのかなあ、と思って……」


 ああ、そういう事か。私は陸の事なんか全く考えてなかったけど、夏姉は優しいからなあ、と思っていたら、


「陸君は10時頃まで寝てるんだって」


 その一言に、私たちの目は一斉に発言した冬に集中した。

 冬は暢気にお新香をポリポリ噛んでいたけど、私たちの視線に気付くと、


「え? なに?」


 と言ってキョトンとしていた。


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