【止】人生すごろく


なぜか、浅田君に話すと少し心が軽くなった気がした。


「つらかったんだよな。苦しかったんだよな。
泣きたい時はいつでも泣いていいんだよ」


その時、私の頬に冷たい何かが落ちていった。

それは、私がなくしたもののひとつの涙だった。
まだ、枯れてなんかなかったんだね。


「ッッウ、ッウ」

その時、浅田君はそっと私を抱きしめた。

「ウァァーーーン、ッウウ」

「ずっと我慢してたんだよな」


私の涙は止まらなかった。


それからずっと浅田君は黙って私を抱きしめていてくれた。
< 27 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop