野辺の送り
 患者に深入りすれば、それだけ自分が打ちのめされる。

 幾度となく経験してきたことだ。


 今から思えば、彼女は救いを求めて私の前に現れたのではない。
 
 彼女は確かめたかった。
 
 自分の時間の残量を……

 ただ、それだけだったのだと思う。

 むしろ、救いを求めていたのは、私のほうだったのではないのかと思うのだ。
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