初恋はヤンキーくんと‐Special‐
──そして、帰りになった。
結局彩乃とは朝から一度も話してない。それどころか目も合わせてくれねー状態で、今だって俺を残して一人でそそくさと帰ろうとしている。
「……………おい、彩乃」
あっちが話しかけてくれるまで、と思って今まで黙っていたが俺だってもう我慢の限界だったからそう声をかけると、彩乃の肩がびくりと跳ね上がった。
「………帰るぞ」
本当は問い質したいことだらけだったけど、一応ここはまだ教室だから俺はそう言い、返事が来る前に彩乃の手を引いて教室を出た。
廊下を歩いてる間も彩乃は何も話さなくて、それがすげー腹立たしかった。