母と息子
会議室にはもう太陽が沈み始めていてその光景を観た昇は早く帰らないと母が心配だと言う事で頭が一杯になっていて佐々木が椅子に座るように話していた。
昇が席に着くと佐々木が口を開き「これか君に大切な話をしなくてはならないのだが少しだけ時間は良いかな?」
昇は「はい。」と告げると佐々木は再び口を開き「我が社もこの不景気でかなりのも赤字を出してしまっている。恐らくまだ不景気は続くと思うのだがその赤字対策として今までも話しには出ては消えていたリストラを実行する事になってしまいその候補に日羽君、君が選ばれてしまったのだよ。私としても君の能力は決して劣る物では無いから何とかならないのか頼んではみたのだが、彼は他の社員達が毎日残業をしている中に彼だけが毎日定時に帰宅しているのは能力以前の問題だと思うのだがね。これ以上彼を庇うのならば上司責任で佐々木君、君が彼の代わりに辞めて貰う事になるよと言われてしまってね。私にも家族がある身としては君をこれ以上庇う事が出来なくなってね。どうだろうか?承諾してくれないだろうか?」
昇は佐々木の話を聞くフリをして目は会議室に飾られている大きな時計を見た。
頭の中は早く帰らないと言う事しか無く生返事で「はい。」と告げると佐々木は「良かったよ。我が社はリストラ候補にと言っても社員が承諾してくれなければ解雇されないからね。君が承諾してくれて助かったよ。話はこれで終わりだからもう帰って良いよ。今月一杯で退社だけど頑張ってくれたまえ。」
それではと席を立ち会議室の扉を開くと昇は佐々木に一礼して早歩きで帰宅して行った。
その後ろ姿を見て(会社に生き残りたいのならばそれなりの覚悟が必要なのだよ。それなのに彼は分かってない。そんな人間がこれからの社会に生き残れるのか。日羽君、君には無理なのかもな。一昔前の時代なら別だが今の世の中では・・・)佐々木は心の中でそう呟いていた。
昇は慌てて会社を後にした。何故なら、本来もう帰宅しても良い時間であった為でもある。
腕時計を見ながら何度も「まずいな。まずいな。」とつづやきながら小走りに歩いていた。
会社の最寄り駅に着き改札口近くの時刻表を見て「まだ間に合う。」とホームまで駆け出して行った。
何とか発車ギリギリに飛び乗り自宅の最寄り駅に電車は到着しt。
昇はドアが開くと駆け出しその勢いのまま自宅まで走って行った。
自宅のドアを開け「母さん、ただいま。遅くなってごめんよ。今から夕飯を作るから少し待っててね。」と台所に向かい冷蔵庫から適当に材料を出し作り始めた。
その光景を見ていた母がこう言った。
「昇、お父さんがまだかえないよ。だから帰って来るまで待っていようね。だって私達がごはんを食べて行けるのもお父さんのお陰なんだからね。」

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