ブラウン管の中の彼女
「実早ちゃん…ほんっとうに!!僕の学校に転校するつもりなの…?」
僕は実早ちゃんの肩をつかみ、小さく揺らした。
「そーだよ~?」
実早ちゃん独特の間延びした口調からは真剣さがいまいち伝わってこない…。
「いきなりどうしたの…?今、通ってる学校で不都合なことなんてないはずでしょ?」
実早ちゃんの肩に手をおいたままうなだれる。
「……あるよ…っ…!!」
その言葉にハッと顔を上げる。
実早ちゃんの表情は今まで見たことがないくらい険しいものになっていた。
「たくさんあるもん…!!」
実早ちゃんは唇を噛んだ。
寸でのところで抱き寄せて頭を撫でてあげたい衝動をこらえた。
「実香さんは何て言ってたの?」
僕は屈んで、実早ちゃんと目線を合わせた。
「祐ちゃんがいいって言ったら転校して良いよって…」
実香さんめ…。
絶対、学校での実早ちゃんの面倒を僕に見させるつもりだな…。
「………わかった」
「ホント!?」
実早ちゃんは先ほどとは一転して顔を輝かせた。
「ただし!!僕と実早ちゃんの関係は絶対秘密だからね?」
「……うん」
こうして約束は結ばれた