ブラウン管の中の彼女
「ゆ…間宮君!!学校の案内をして欲しいんだけどいいかな…?」


昼休みになると実早ちゃんは早速、僕に声をかけてきた。


「ふ、ふふ、福永さん!!」


太一は早速、緊張のためか言葉を詰まらせた。


実早ちゃんを一目見るために教室はまるで見世物小屋のように人で溢れかえっていた。


「わかったよ。早速、行こうか」


出来るだけ早く済ませてしまおう…。


太一や他のクラスメートの羨ましそうな視線を背に受け、僕は実早ちゃんを連れて急いで教室を出た。





「え―っと…あそこが国語教官室で隣が資料室…」


お…落ち着かない…。


僕はこっそり後ろを振り返った。


案の定こそこそとついてくる生徒が多数…。


壁に隠れてるつもりがはみだしてる…。


「間宮君あれは~?」


実早ちゃんは前の高校とは勝手が違う校舎に興味津々のご様子で…。


きっと背後にいる生徒たちには気がついていないのだろう…。



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