ブラウン管の中の彼女



「会議室だよ」


僕は実早ちゃんに隠れてため息をもらした。


実早ちゃんのワガママと言うかおねだりには慣れてる。


もう10年の付き合いだし?


でもあんなに必死になる姿なんて初めて見た。


何かあったのだろうか…?


学校でいじめにあってたとか…?


いや、実早ちゃんに限ってそんなことはない。


昔、僕が近所の子にいじめられていたら実早ちゃんは有無を言わさずボコボコにしてたし…。


泣き寝入りなんて絶対しない。


じゃあ、なんなんだろう…?


他に原因が?


僕は腕組みをしてう~んっと考え込んだ。


「ゆ…間宮く~ん!!早く行こうよ~!!」


「あっごめん」


考え込んでいた僕は実早ちゃんから取り残されていた。


「ごめんね?」


すぐに実早ちゃんに追いつく。


「祐ちゃんこっち!!」


グイッ!!


突然腕を引かれて入ったのは社会科準備室。


「え…!?」


カチッと鍵がかかる音がした。


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