ブラウン管の中の彼女
「ねえ、祐ちゃん怒ってる~?」
「怒ってないよ」
「嘘。絶対怒ってる!!」
部活も終わり、実早ちゃんと学校から離れた公園で待ち合わせ。
今日一日で僕のエネルギーは尽きかけていた。
こんなに実早ちゃんに振り回されたのは何年ぶりだ…?
「怒ってないよ」
僕はもう一度実早ちゃんに言った。
「ホント…?」
実早ちゃんの顔は不安げで無性に庇護欲がかきたてられる。
「ホント」
ただちょっと疲れただけ。
「よかったあ―…。一日で元の学校に戻れって言われたらどうしようかと思っちゃった!!」
うん。
出来ればそうしてもらえるとありがたいんだけどね…。
今日は何とか乗り切ったけど、この先どこから僕たちの関係が洩れるかわからない。
そんな危険な状況に実早ちゃんをおきたくない。
でも…
「祐ちゃんカッコよかったよ♪」
こうして普通の高校生として一緒にいるとやっぱり嬉しいんだ。