ブラウン管の中の彼女


「ありがと」


ほら、自然と顔が綻んでいく。


「今日のご飯は何がいい?」


「う~んとね…。ビーフシチュー!!」


実早ちゃんは元気よく手を挙げた。


「だーめ。ビーフシチューは一昨日食べたでしょ?」


「祐ちゃんのケチンボ!!」


実早ちゃんはぷうっと顔を膨らませた。


「今日は他のものにしよ?」


「……わかった」


実早ちゃんは渋々了解してくれた。


学校帰りに実早ちゃんとこうして帰るのもいいかもしれないな―…。







そんなことを考えていた僕に更なる苦労が増えるのは翌日のことだった。



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