ブラウン管の中の彼女


次の日、更なる災難が僕を襲った。









「……塚原…仲紗…よろしく…」




なんとも味気ない自己紹介だっただろう…。


「仲紗だ!!」


実早ちゃんは先生の紹介が終わらないうちに塚原さんに抱きついた。


「どうして仲紗が!?」


その顔は心底驚いていた。


「社長が…実早だけ不公平…だからって…」


塚原さんはもともとなのだろう。


ポツリポツリと呟くような声色で実早ちゃんに語りかけた。


実香さん…お願いだから余計なことしないでください…。


ああ、実香さんの高笑いが聞こえてくる…。


また悩みの種が増えてしまった。


僕はホームルームが終わる前に机に撃沈してしまった――…。


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