ブラウン管の中の彼女
「ねえ、いーちゃん…祐ちゃんは実早のことが好きなのかなあ…」
確かにいーちゃんのことは実早の勘違いだった。
話に聞くと祐ちゃんといーちゃんは高校で再会したらしく、二人は知り合いということもあってよく話をするようになったとか。
委員会も一緒で事務的な用事で祐ちゃんの教室に行くこともしばしば。
それに…。
実早はいーちゃんの腕につけられたミサンガを見つめた。
これと同じものを太一がつけていた。
そう、ふたりはれっきとした恋人同士だったのだ。
「みーちゃんは祐君にちゃんと聞いた?」
いーちゃんの顔が夕日に照らされる。
「祐君に“好き?”って聞いた?」
あ―…。
「……聞いてない」
そう言えばキチンと聞いてないかも…。