ブラウン管の中の彼女
「た~いち!!出てきなよ~。バレバレだから」
あたしがそう言うと太一はおずおずと扉から姿を現した。
「チッ…バレたか…」
みーちゃんは気づいてなかったけどあたしからは丸見えだった。
「盗み聞きなんか悪趣味~!!」
あたしは太一の頭をポカッと殴った。
「いでっ!!」
「ごめんなさいは?」
頭をさする太一に強制的に謝罪させる。
「ゴメンナサイ」
「よろしい」
あたしは満足した。
「っつーかマジであの2人好き合ってんだなあ…」
「今頃気づいたの?おそっ!!」
鈍いとは思ってたけど…ここまでとは…。
「ちげーよ!!意外ってことだよ!!」
言葉の意味を図りかねていると太一が更に続けた。
「だってさあ…福永実早なら男なんてよりどりみどりだろ?なんで祐なんだか…」
「ひがまない、ひがまない」
あたしはニコッと太一の目の前に人差し指を出した。
「たとえ芸能人だって好きになったら止まらないってこと」
太一は訳がわからないというような変な顔をしていた――…。