ブラウン管の中の彼女
THIRD*STEP
1
「はっ?」
朝から突拍子もないことを聞かされ僕の頭はパンク寸前だった。
「だから今日、樺摘(かつみ)が来る」
コーヒー片手に何てこと言い出すんだ、この人は!!
「冗談だよね…?」
「冗談だと思うか?」
いや、基本的に母さんは冗談を好まない。
「じゃあホントに…?」
「さっきからそう言ってる」
母さんはトーストを無理やり流し込んだ。
「じゃああとよろしく」
慌しく出かけていくその背中を見送る。
「いってらっしゃい」
本日の帰宅時間、1時間。
ホントに忙しいんだなこの人たちは。