ブラウン管の中の彼女


「その人、美人か?」


「はい?」


太一は机から身を乗り出して尋ねてきた。


ちなみに今日は実早ちゃんも塚原さんも仕事で学校を欠席している。


「だってさあ~祐のお袋さんってすっげえ美人じゃん?その血縁ならなおさら…」


……灘さんに言いつけてやろうか?


そう思ったけど本気で怒った灘さんは怖そうなのでやめとこう。


「まあ確かに美人ではあると思うけど…」


美人の定義にもよるけど、大抵の人は樺摘さんを見て綺麗だと言うだろう。


「マジ!?俺、今日見に行っていい!?」


いたく興奮した太一は迷惑なほどにご機嫌にだった。


「見に行くって…部活は?」


僕は今日の部活はミーティングだから早く終わるけど太一は違うと思う。


「サボる」


ぬけぬけと言う姿にサッカー部の今後が危ぶまれる…。


「……やっぱり灘さんに言おうかな…」


太一がマネージャーの灘さんに引きずられて泣く泣く部活に行ったのは言うまでもない…。


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