ブラウン管の中の彼女



まるで死刑台にでも行くような心境で樺摘さんの元へ赴く。


「よう。遅かったじゃねえか」


樺摘さんがそう言うと周りにいた女の子たちが一斉に僕のほうを向いた。


「……すいません」


妙に居心地が悪いな…。


女の子たちは僕と樺摘さんがどんな関係なのか興味津々だ。


当たり前だろう。


冴えなすぎる僕と整った顔立ちの樺摘さんは隣に並ぶとまるで違う生き物みたいだから。


「樺摘叔父さん」


普段は禁止されている叔父さんという単語を使う。


「あ”?」


案の定、叔父さんは思いっきり不機嫌になった。


チンピラ通り越してやくざみたい…。


「帰りたいんですけど…」


早くこの女の子たちを何とかして欲しい。


「あ―…ごめんね?連れが来たから帰るね」


さっきとは打って変わって和やかな笑みを浮かべた叔父さんは女の子たちに丁寧に謝った。


「え――っ!!」


そんな文句もなんのその、僕は叔父さんの車に素早く乗り込んだ。



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