ブラウン管の中の彼女
その様子があまりに可愛くて僕はクスッと笑ってしまった。
「ついてるよ?」
実早ちゃんのほっぺたに手を伸ばしソースをすくいとる。
「あっありがと…」
恥ずかしそうに俯いた実早ちゃん。
可愛い―…。
黙々とグラタンを頬張る姿でさえ僕の心を捕らえて離さない。
「…ゆ……ん………祐ちゃん!!」
僕はボーっとしていたらしい。
気がつくと目の前に実早ちゃんの顔が迫っていた。
「どーしたの?」
心配そうに瞳が揺れる。
僕の手元にはいつの間にか泡だらけになった食器があった。
「なんでもないよ」
心に渦巻く想いを表に出したくなくて笑顔で誤魔化した。
でも実早ちゃんがそんなことで誤魔化されるはずなかったんだ―…。