ブラウン管の中の彼女



「あの~…先ほどから実早さんはなにをやってらっしゃるんですか…?」


香川ちゃんは机に広がった紙を凝視していた。


「香川ちゃん、見てわからない?」


実早はふうっと息を吐いた。





「悪魔滅却の呪文を書いているのよ」





その場になんともいえない空気が流れた。


「あ、あああ、あの!!悪魔というのは!?」


「もちろん実早と祐ちゃんの時間を邪魔するあのあ・く・ま・よ!!」


実早はあの憎たらしい顔を思い浮かべた。


「ごめんなさいごめんなさい!!邪魔するつもりはないんです!!ただいつもタイミングが悪くてっ!!だから呪わないでくださいいいい―――っ!!」


香川ちゃんは頭を抱え部屋の隅っこで小さくなっていた。


「香川ちゃんのことじゃないわよ!!」


そう言うと香川ちゃんはピクンと反応し、元の位置まで戻ってきた。


「じゃあ誰なんですか~?」


能天気な香川ちゃんに実早は握りこぶしで答える。


「もちろん!!吉崎樺摘よ!!」


あの野郎っ!!絶対許さないんだから――っ!!


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