ブラウン管の中の彼女
2
「あの~…先ほどから実早さんはなにをやってらっしゃるんですか…?」
香川ちゃんは机に広がった紙を凝視していた。
「香川ちゃん、見てわからない?」
実早はふうっと息を吐いた。
「悪魔滅却の呪文を書いているのよ」
その場になんともいえない空気が流れた。
「あ、あああ、あの!!悪魔というのは!?」
「もちろん実早と祐ちゃんの時間を邪魔するあのあ・く・ま・よ!!」
実早はあの憎たらしい顔を思い浮かべた。
「ごめんなさいごめんなさい!!邪魔するつもりはないんです!!ただいつもタイミングが悪くてっ!!だから呪わないでくださいいいい―――っ!!」
香川ちゃんは頭を抱え部屋の隅っこで小さくなっていた。
「香川ちゃんのことじゃないわよ!!」
そう言うと香川ちゃんはピクンと反応し、元の位置まで戻ってきた。
「じゃあ誰なんですか~?」
能天気な香川ちゃんに実早は握りこぶしで答える。
「もちろん!!吉崎樺摘よ!!」
あの野郎っ!!絶対許さないんだから――っ!!