ブラウン管の中の彼女
「本当に分からないか?」
樺摘は心底嫌そうにため息をついた。
バンッ!!
「な、なな、なによ!?」
樺摘は壁に手をついた。
「自分が祐一郎に相応しくない理由も分からないようじゃお前はあいつの傍にいる資格はないな」
祐ちゃんの傍にいる資格がない。
他人に言われるとショックだった。
「実早が芸能人だから…っ…?」
やだ…泣きそう…。
「俺が言いたいことはそれだけじゃねえ」
樺摘は壁についていた手を離した。
「……よく考えろ」
コツンと額を叩かれる。
樺摘は実早を振り返らずにそのまま帰っていった。
わかんないよ…。
どうして実早じゃダメなの…?
全然わかんないよ!!
実早は答えのでない問いを頭の中で繰り返した―…。