ブラウン管の中の彼女


「いつにも増して不機嫌じゃないか。どうかしたか?」


缶コーヒーを片手に休憩室のソファーに座る。


なんで高校生にもなってこんなところで母さんとコーヒーなんか飲まなきゃいけないんだ…。


「別に…。不機嫌じゃないよ」


そう言うと母さんはプッと吹き出した。


「そういう言い方が不機嫌だって言ってるんだ」


母さんは子供のように頭をポンポン叩いた。


「樺摘となにかあったか…?」


僕はフッと笑った。


母さんには敵わないなあ……。


「樺摘さんが何考えてるかわかんないや…」


僕だけじゃなく実早ちゃんにまで…。


樺摘さんが実早ちゃんと別れろなんて言うからにはそれなりの理由があると思うんだ。


樺摘さんのやってることには大抵意味がある。


でも今回はそれが見えてこない。



< 161 / 280 >

この作品をシェア

pagetop