ブラウン管の中の彼女
「それは実早絡みか?」
僕は今度こそひっくり返りそうになった。
「なっ!!なななっ、何でわかるんだよ!?」
僕はひとっことも実早ちゃんの名前を口に出してないのに!!
「お前の母親と樺摘の姉を何年やってると思ってるんだ」
それにしても勘が良過ぎだろ!?
そう思っていると母さんがニヤリと笑った。
「っていうのは少し嘘だな。テレビ見たんだ。なかなか熱烈な告白だったな、祐一郎?」
なんて意地が悪いんだ…っ…!!
僕は少し赤くなって母さんを睨んだ。
母さんは素知らぬ顔でコーヒーを飲み干した。
そして缶をゴミ箱に向かって投げた。
綺麗な弧を描いたそれは見事ゴミ箱の中に消えていった。