ブラウン管の中の彼女


「今日の夕飯はロールキャベツか?」


リビングに戻ってくると樺摘さんが調理台に置かれていた材料を覗いていた。


「そうです…」


今日は帰ってくるのが早いな…。


「樺摘さんが早く帰ってくるなんて知りませんでしたから」


僕は樺摘さんを押しのけてキッチンに入った。


「あからさまに感情をだすなよ…」


樺摘さんは呆れたようにため息をついた。


「それで…実早とは別れたのか…?」


「樺摘さん!!」


僕は声を荒げた。


「その様子じゃまだだろうな」


「………」


僕は心の内を悟られないように顔を伏せた。


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