ブラウン管の中の彼女


「後で戻るもん…」


実早ちゃんはさっきの元気はどこへやら急にショボンと小さくなった。


「だめだよ。今から電話してくるからちょっと待ってて…?」


テーブルに置いたジュースを手に持ちながら実早ちゃんは小さく頷いた。


大人しくジュースを飲んでいることを確認すると、僕はもうお馴染みになりつつあるマネージャーさんのところに電話をかけた。


「もしもし…」


《も"じも"じっ!!ック…ヒックっ…》


なんとも言えないすすり泣き…。


「また泣いてたんですか…?」


マネージャーの香川さんはとにかくよく泣く人だ。


《祐一郎ぐん!?実早ざんがぞっち"にいっでまぜんが…?》


お願いだから鼻声で話すのはやめて欲しいな…。


「実早ちゃんなら家にいるんで迎えに…」


《すぐ行きます!!》


女性特有の甲高い声を発した香川さんはぶちっと一方的に電話を切った。



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