ブラウン管の中の彼女


「吉崎せんせ!!」


しまった…。


俺は心の中で舌打ちした。


仕事以外ではいつも一緒の看護士3人組みに取り囲まれてしまった。


休憩中はなにしようが勝手だが俺に絡むのはやめて欲しい。


「吉崎先生って昔モデルやってたってホントですか~?」


「ああそれ?」


またかよ…。


話の出処は大体掴んでる。


……義兄さんだ。


「ホントホント。わかったら…」


ひとりにしてくれない?


そう言おうとしたらきゃーっという悲鳴にかき消された。


「聞いた!?」


「間宮先生の言ってること合ってたんだね~!!」


俺を完全に無視して彼女たちはどこかへ消えていった。


……やっぱり義兄さんか…。


ほいほい個人情報ばらすなよ…。


訴えてやろうか…?


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