ブラウン管の中の彼女
「「あ…」」
俺たちの声は見事にハモッた。
「あ~ら吉崎先生じゃないですか?まだ夕方ですけどお仕事はいいんですか~?」
いちいち嫌味な女だな。
「お前こそ、こんなに早くに帰ってきて売れてないんじゃないか?」
そう言い返すと実早は顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。
「うるさい!!今日はロケが早く終わったのよ!!」
「そうかよ」
俺は実早を適当にあしらうと家の中に入ろうとした。
が…。
「何でついて来るんだよ?」
「祐ちゃんが帰ってくるまで待つの。悪い?」
悪いに決まってる。
「帰れ。そして二度と祐一郎に近づくな」
「い・や・よ・!!」
実早は腰に手を当て偉そうにふんぞり返った。