ブラウン管の中の彼女
「祐ちゃんに言われるならともかく!!何であんたに言われなきゃなんないの!?」
「まだ分からないか?」
バンッ!!
俺は拳を壁にたたきつけた。
パラパラと塵が舞ってくる。
「お前が祐一郎を利用しているからだよ」
「はあ?意味わかんない」
「分かるんだよ」
俺は実早の手首を掴み壁に叩きつけた。
実早は痛みで顔をしかめたがそんなことかまっていられない。
「俺もあの世界にいたからな」
華やかで綺麗で、それでいて醜くて汚いあの世界。
「お前は祐一郎を自分のところに引き止めたくてあんなことをしたんだろ?」
祐一郎の優しさに漬け込みやがって…吐き気がする。