ブラウン管の中の彼女
「なんのこと…?」
この女にはいちいち説明してやらないとわかんねえのか…。
「芸能界なんて汚い所だ。人を蹴落として自分が成り上がる。きわめて単純な弱肉強食の世界だ」
浮き沈みの激しさはきっと他の分野より抜きんでている。
「だから信頼できるのはもともと身の回りにいた人間だ」
それは肉親だったり、幼なじみだったりあるいは恋人だったり…人それぞれ。
「お前は祐一郎の優しさを利用して縛りつけてるんだよ!!」
人の望みを先回りして叶えようとする祐一郎に…甘えてる。
幼なじみだという理由だけであいつの自由を奪うなんて許さない。
「なによ…それ…」
実早は呆然と立ち尽くしていた。
「別れろ」
そう言うと実早の肩がピクンと反応した。
「祐一郎と別れろ」
俺はギリッと実早の手首を締め上げた。