ブラウン管の中の彼女



「実早ちゃんっ!!」


俺は自分のタイミングの悪さを呪った。


「ゆ…ちゃ…」


祐一郎は実早と俺を無理やり引き剥がした。


「大丈夫…?赤くなってる…」


申し訳なさそうに実早の手首をさする。


そして俺を睨んできた。


「樺摘さん、これはひどいんじゃないかな」


祐一郎の言葉には怒りが満ちていて、少し面食らう。


俺の知っている限りで祐一郎がこれほどまでに怒っているのを見たことがなかったからだ。


「お前の邪魔になるものを排除しようとしただけだ」


「頼んでない。第一、実早ちゃんは邪魔じゃない」


ったくガキだな…。すぐに感情的になる。



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